「銭湯と暮らし vol01」表紙は、夕暮れに浮かぶ姫路の「中島湯」さんの看板写真です。
実は、この中島湯さん。
残念ながら昨年の2016年5月で廃業されています。
地元で深く愛され、75年以上もお湯を沸かし続けた老舗銭湯の廃業は新聞記事にもなり、多くの人々に惜しまれながらも、暖簾をたたみました。
なぜ「銭湯と暮らし」の表紙を、廃業された中島湯さんの写真にしようと思ったのか。
中島湯さんが人々の記憶に末永く残って欲しい、とても素敵な銭湯であったことはもちろんですが「多くの人々に望まれながらも廃業せざるを得ない」銭湯の現状を、そこに感じるやり場のない切なさを、夕焼けと中島湯さんの写真に「メッセージ」として込めようと思ったのです。
設備の老朽化、多大なメンテナンス費用、跡継ぎ問題……様々な事情で、惜しまれながらも廃業せざるを得なかった銭湯は中島湯さんだけではありません。
かつては人々の生活に欠かせなかった銭湯も、家風呂の普及に伴って急激に姿を消しています。
時代の変化にともなって、銭湯の役割は終わってしまったのでしょうか。
いいえ、銭湯にはまだまだ人々の「健やかな暮らし」のために、役立てることがたくさんあります。僕は日常的に銭湯を利用するようになって、そのことを強く感じるようになりました。
「銭湯と暮らし」をきっかけにして「暮らし」のひとときに銭湯を利用してくれる人が現れたら、それほど嬉しいことはありません。
細々とではありますが「銭湯と暮らし」を、これからも続けていきたいと思っています。